純恋歌
初めての無機質な音
カランコロン
「いらっしゃいませ」
母親の働いてる職場の近くのカフェでランチをした。
父と外でご飯となるとラーメンとか牛丼屋ばかりだからこういうオシャレなお店でのランチをチョイスする母のセンスは好きだった。
「へぇ、今度映画デートするんだ。映画デートとは最近の小学生はませてんだねぇ。その男の子も居る合唱団の発表会楽しみにしとくよ」
母はにやけて言った。
「で、どう家は?」
アイスコーヒーのシロップとミルクを混ぜるよう氷をストローでカラカラ音を立てながら回し母は聞いてきた。
「んー?相変わらず特にこれと言って変わりはないかな。真もお調子者だし」
「そっか。つか、あんたオレンジジュースなんて珍しいね。真みたい」
「たまには飲みたい気分もあるのよ」
「残業疲れのOLか」
現在、父と母は別居している。
夫婦の間に浮気だとか不倫だとか隠れて借金してたとかそう言った大きな出来事はないようだが、
日々の細かい積み重ねから口論となり
口論がヒートアップし喧嘩になり
気がついたら喧嘩が絶えなくなり
喋ると喧嘩になるから喋らなくなり
そうしてく内に夫婦間は冷え切っていったとの事。
家で一緒に住んでた頃、別居する前はすでに二人隣に並んで座る事はなく二人が並んで座る時は必ず間に私か真のどちらかが座らされ二人に挟まれていた。
「ツンドラ気候かここは」
「ぶほっ」
その時、両親の間に挟まれてソファーに座ってた真が真顔で漏らした一言が私のツボにハマってしまった。
「そこに見えるのは氷山の一角でっせ!」
私もツンドラ気候に乗ったが父も母も笑うどころか眉毛一つピクリとも反応しなかった。
来る日も来る日も父と母の間には冷戦が続いていた。
そんな訳で母親は家を出て実家に帰り、勤務先の病院へ実家から通って看護婦している。
「もうそろそろ職場に戻らなくちゃ。また今度話し聞かせてね、ちなみに何の映画に誘われたの?」
「もののけ姫」
「……ックッ!クックック!」
言った瞬間ツボに入った母は手で口を抑えて笑っていた。
「あー、はっはっは!もののけってもののけって!」
母は気が済むまで笑った。
「チャラい男には気をつけなさいよー」
「母さん?」
「ん?」
「帰って来ないの?」
「んー。ごめん」
母は私の問いかけに苦笑いして手を振って職場に戻って行った。
「いらっしゃいませ」
母親の働いてる職場の近くのカフェでランチをした。
父と外でご飯となるとラーメンとか牛丼屋ばかりだからこういうオシャレなお店でのランチをチョイスする母のセンスは好きだった。
「へぇ、今度映画デートするんだ。映画デートとは最近の小学生はませてんだねぇ。その男の子も居る合唱団の発表会楽しみにしとくよ」
母はにやけて言った。
「で、どう家は?」
アイスコーヒーのシロップとミルクを混ぜるよう氷をストローでカラカラ音を立てながら回し母は聞いてきた。
「んー?相変わらず特にこれと言って変わりはないかな。真もお調子者だし」
「そっか。つか、あんたオレンジジュースなんて珍しいね。真みたい」
「たまには飲みたい気分もあるのよ」
「残業疲れのOLか」
現在、父と母は別居している。
夫婦の間に浮気だとか不倫だとか隠れて借金してたとかそう言った大きな出来事はないようだが、
日々の細かい積み重ねから口論となり
口論がヒートアップし喧嘩になり
気がついたら喧嘩が絶えなくなり
喋ると喧嘩になるから喋らなくなり
そうしてく内に夫婦間は冷え切っていったとの事。
家で一緒に住んでた頃、別居する前はすでに二人隣に並んで座る事はなく二人が並んで座る時は必ず間に私か真のどちらかが座らされ二人に挟まれていた。
「ツンドラ気候かここは」
「ぶほっ」
その時、両親の間に挟まれてソファーに座ってた真が真顔で漏らした一言が私のツボにハマってしまった。
「そこに見えるのは氷山の一角でっせ!」
私もツンドラ気候に乗ったが父も母も笑うどころか眉毛一つピクリとも反応しなかった。
来る日も来る日も父と母の間には冷戦が続いていた。
そんな訳で母親は家を出て実家に帰り、勤務先の病院へ実家から通って看護婦している。
「もうそろそろ職場に戻らなくちゃ。また今度話し聞かせてね、ちなみに何の映画に誘われたの?」
「もののけ姫」
「……ックッ!クックック!」
言った瞬間ツボに入った母は手で口を抑えて笑っていた。
「あー、はっはっは!もののけってもののけって!」
母は気が済むまで笑った。
「チャラい男には気をつけなさいよー」
「母さん?」
「ん?」
「帰って来ないの?」
「んー。ごめん」
母は私の問いかけに苦笑いして手を振って職場に戻って行った。