純恋歌
「これからどうしようか…」

そう言って明菜の顔を見たら口をカタカナの『ム』の様な形で必死に涙を我慢してた。

「私さ、私さ、一目惚れだったんだけどさっ、ずっと好きで本気だったんだよっ」

「うん」

「ずっと、ずっと、ずっと…」

そう言うと堰(せき)を切ったように明菜は泣きだした。

「ふえぇぇぇぇん」

私はぎゅっと明菜を抱きしめ

「うんうん、知ってる」

そう言って私も鼻水ダラダラ流し

「おぅおぅおぅおぅ」

まるでオットセイのような泣き声を発しながら一緒に泣いた。

ちなみに受験生の私はバレンタインは結局誰にもあげずに終わった。

明菜が真彦君をまー君呼びしてたから私も家に帰り、ウチの弟をまー君呼びしてみた。

「まー君」

「……」

「まぁくん!」

「………」

「まぁーきゅん!」

「そのキショい呼び方やめて。ぶちキレるよ」

そしたら、めっちゃ嫌われた。

卒業式の日。

明菜は瀬戸中の卒業式を訪れて無事ツーショット写真を撮ってもらったらしい。

「彼女が居るのに写真撮って貰えて良い思い出が出来た」

そう言う明菜の顔はめちゃくちゃ可愛かった。

「ところでそのツーショット写真見せろ」

「恥ずかしいから嫌」

「減るもんじゃないやろが見せろ」

「いつかね」

ちなみにその写真は大人になって見せてもらえる事となるけど、その話しはまた今度。

ちなみに私の青山中学卒業式は

(マズイこの流れは!出せ!出すんだ私!私は涙を流す可愛いキャラだ流せ!ええい!裏技!昔飼ってた犬が死ぬ所!)

涙が一滴も出なくてビックリした。
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