純恋歌
「じゃあ、今度の文化祭で組む一度きりのバンドだから、3-ARROWS(仮)だね。ちなみに私は亜依子(あいこ)って呼んでね」

大橋さんが僕に言ってきた。

「えぇ!いきなり呼び捨てはハードルが…」

「あいこでしょあいこでしょあいこでしょ」

躊躇う僕をよそに剛と和寿とジャンケンをしてた。

「それ!小学校の時によく言われてたやつ!嫌な男子ねー!」

そう笑いながら可愛く剛を叩いていた。

可愛いく叩いてると言ったが、気のせいか空手の貫手で的確に急所を攻撃してるように見えた。

「ちょっ、マジ、いたた!」

痛がりながら逃げる剛をよそに

「私は変わらず吉田さんね!」

「私も変わらず三宅さんね!」

吉田さんといつの間にか現れた三宅さん。

「えっと、吉田さんに。三宅さんに」

と、言った段階で大橋さんがこっちを向いた

「私は?」

「亜依子………ちゃん」

「ごちそうさまです、いただきました」

それからも和気あいあいと温かい空気が教室の中に流れた。

(なんとか…一度でも良いから…今度はちゃんとみんなで出来ますように)

不安そうにしてる僕に気づいた剛は

「大丈夫だって!僕達スリーアローズが居るから!」

肩に腕を回して僕をグッと引き寄せてくれた。
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