純恋歌
「じゃあ準備出来たしいこうか!和寿、いつもの奴頼む」

そう言い終えた剛は猪木の顔をしていた。

和寿は

「では、皆さんやらせていただきます、皆さまもご一緒に」

コホンと一つ咳をして

「出る前に負ける事考える奴がいるかよ!バカヤロー!行くぞー!1、2、3ダー!」

僕もカウントダウンから一緒に雄叫びを上げた。

みんなと士気を高め盛り上がった。

「私達も全力で応援するから頑張ってね!」

亜依子ちゃんと三宅さんがガッツポーズで鼓舞してくれた。

体育館の裏から入り、ステージ裏で待機した。

人もぱらぱらと入り始め最前列には亜依子ちゃんと三宅さんの姿もあり二人の手にはキラキラデコレーションされたうちわが握られていた。

はじめに軽音部の1、2年生達が演奏した。

緊張してるのが僕達にも伝わってきた。

お世辞にも凄いまでとは言わないけれどそれでも流石にやってるだけ上手だなと思った。

裏で見てた剛と和寿も我が子を見つめるような目で後輩達の演奏を眺めていた。

演奏後、大きな拍手が起こり場を退場した。

いよいよ僕達の番だ。

良い感じに場を温めてくれてたのでお客さんのノリも良い気がした。
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