純恋歌
相変わらず緊張はするけどそれでも落ち着いて歌えてる周りの曲も聞こえてる。
そして久々のライブはめっちゃ楽しい!
「やば、めっちゃ上手い」
「こりゃ、噂は本物だわ」
僕の歌を初めて聞く人から称賛の声が届く。
心を込めて最後のライブになっても良いように燃え尽きる最後の瞬間まで…
他のバンドを聞きに来ていて後方で待機していた人達も僕達の演奏の熱気に押されていつの間にか前に出てきて叫んでは盛り上がっていた。
そして、最後の曲になり
「次が最後の曲です。最後の曲は『矢印』って歌で僕が高校の時に作詞し、ギターの剛が作曲した歌です。それでは聞いてください」
演奏が始まった。
僕も深呼吸をし最後の歌となるので歌い出す前に後ろを向きメンバーみんなの方を向いた。
するとそれは前触れなく突然やってきた。
(………あれ?)
さっきまでよく聞こえていたみんなの奏でる演奏が聞こえない。
さっきまでよく見えてたのに世界がぐるぐる回る。
足ちゃんと立ててるか?
大きくふらつく。
「……拓郎?拓郎?」
いち早く異変に気付いた剛が演奏を止め呼び掛けるも僕は倒れてしまった。
「大丈夫か?おい?」
利伸君が問いかけるがもちろん気を失ってるので僕は反応ない
「いやっ!!ねぇ、拓郎ー?!どうしようどうしよう…」
亜依子は客席からパニックを起こしていた。
病院に運ばれ、それから僕が目を覚ましたのは翌日の朝だった。
「おはよう、気分はどうだい?」
医者の問いにベッドに座り点滴が刺してる右腕を眺めて僕は何も返事が出来なかった。
(ダメだ…もうダメだ…)
考えるのはこの事だけだった。
昼に差し掛かった頃、彼女がやってきた。
「拓郎!」
ぎゅっと泣きながら抱きしめてきた。
「大丈夫?」
「大丈夫」
軽く微笑んで答えた。
「何かわからない言葉ある?」
その問いに僕は深く考えたが答えなかった。
不安そうに僕を見る彼女。
「えっと………」
僕は彼女の名前が頭に出てこない
(ぼーっとしてるからかな?)
僕は自分のベッドに付いてある
松本拓郎
名前を声に出して言おうとしてみた。
「………」
言えなかった。
つーっと自然と涙が流れた。
その僕の姿を見て彼女が泣き崩れた。
僕はその日
【あ】【い】【う】
を失った。
そして久々のライブはめっちゃ楽しい!
「やば、めっちゃ上手い」
「こりゃ、噂は本物だわ」
僕の歌を初めて聞く人から称賛の声が届く。
心を込めて最後のライブになっても良いように燃え尽きる最後の瞬間まで…
他のバンドを聞きに来ていて後方で待機していた人達も僕達の演奏の熱気に押されていつの間にか前に出てきて叫んでは盛り上がっていた。
そして、最後の曲になり
「次が最後の曲です。最後の曲は『矢印』って歌で僕が高校の時に作詞し、ギターの剛が作曲した歌です。それでは聞いてください」
演奏が始まった。
僕も深呼吸をし最後の歌となるので歌い出す前に後ろを向きメンバーみんなの方を向いた。
するとそれは前触れなく突然やってきた。
(………あれ?)
さっきまでよく聞こえていたみんなの奏でる演奏が聞こえない。
さっきまでよく見えてたのに世界がぐるぐる回る。
足ちゃんと立ててるか?
大きくふらつく。
「……拓郎?拓郎?」
いち早く異変に気付いた剛が演奏を止め呼び掛けるも僕は倒れてしまった。
「大丈夫か?おい?」
利伸君が問いかけるがもちろん気を失ってるので僕は反応ない
「いやっ!!ねぇ、拓郎ー?!どうしようどうしよう…」
亜依子は客席からパニックを起こしていた。
病院に運ばれ、それから僕が目を覚ましたのは翌日の朝だった。
「おはよう、気分はどうだい?」
医者の問いにベッドに座り点滴が刺してる右腕を眺めて僕は何も返事が出来なかった。
(ダメだ…もうダメだ…)
考えるのはこの事だけだった。
昼に差し掛かった頃、彼女がやってきた。
「拓郎!」
ぎゅっと泣きながら抱きしめてきた。
「大丈夫?」
「大丈夫」
軽く微笑んで答えた。
「何かわからない言葉ある?」
その問いに僕は深く考えたが答えなかった。
不安そうに僕を見る彼女。
「えっと………」
僕は彼女の名前が頭に出てこない
(ぼーっとしてるからかな?)
僕は自分のベッドに付いてある
松本拓郎
名前を声に出して言おうとしてみた。
「………」
言えなかった。
つーっと自然と涙が流れた。
その僕の姿を見て彼女が泣き崩れた。
僕はその日
【あ】【い】【う】
を失った。