純恋歌
「上島君、ちょっと来て!私と同じ小学の時の同級生が一緒に写真撮って欲しいって言ってるから良い?」

「あ、ああ良いよ」

呼ばれて行ったら、私立のお嬢様学校の制服姿のその女の子はめちゃくちゃ可愛いくて俺が逆に緊張した。

「ありがとうございました」

写真を撮った女の子は恥ずかしそうにすぐにその場を去ろうとした。

「え?写真だけで良いの?」

「はい、充分です!ありがとうございました」

ちょっとこの先の展開を期待しただけに肩すかしくらった気分になった。女心はよくわからん。

そして最後に学年主任の濱谷先生の元に駆け寄った。

「お世話になりました」

「おう!元気でな!」

笑顔で言ってくれた。

今回、高校に入れたのも素行が悪い俺を見捨てる事なくしっかり面倒を見てくれたおかげだと井上先生から聞いていた。

そして、病気を患っていた濱谷先生はこの年を持って病気を療養する為、学校を退職された。

僕達の学年が濱谷先生にとって最後の生徒となった。

高校1年生の夏に井上先生に誘われ、井上先生と翼と訪れた。

「よう来たな!」

病室で見かけた濱谷先生は見たこともないぐらい痩せ細っていた。

「先生、先生!」

俺と翼は変わり果てた濱やんの姿にショックから目の前に本人が居るのに我慢出来ず涙を流した。
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