そのラインを越えて
多少アイメイクの濃さが気になるけれど、メイク直しを終えた。
「風邪、ぶり返すなよ!」
ゆっこに見送られて廊下に出た私。
「さんきゅう、ゆっこ!」
大きく手を振って歩き出した。
会いたい。
蒼生くんに、会いたい。
ちゃんとお礼が言いたい。
N駅から電車で一駅のK駅には、体調のことも考えて電車で向かった。
普段ならこれくらい、歩くんだけど。
電車の中。
今朝ゆっこからもらったのど飴を取り出す。
飴玉を放り込んだ口の中は、梅の甘酸っぱい味が一気に広がる。
K駅にはすぐに着いた。
改札から出て、駅のロータリーに立つ。
下校中のK高生が何人もいる。
みんな参考書片手にブツブツ言いながら歩いている。
(何あれ。帰る時まで勉強してンの!?)
度肝を抜かれた気分。
勉強なんか授業中だけでお腹いっぱいだし。
(そういえばK高って県内トップの進学校だっけ)