そのラインを越えて
見かけるK高生はみんな、真面目そう。
「ザ・優等生」って感じ。
(すごいなぁ)
こんなふうに下校時間も惜しんで勉強してるんだ?
みんな努力家だな。
(私には無理だな)
ジロジロとK高生を見ていたら、三つ編み姿のK高生の女の子が参考書から顔を上げて、私を不思議そうな目で見返した。
(何?)
その子だけじゃない。
他の人も私を見ている気がする。
(あ、そっか。この恰好じゃ、目立つよね?)
場違いなのかも。
N高の制服だから。
こんなに髪染めて、メイクしてる子もいないし。
(でも、だから、どうしたっつーの)
私は、N高校に通えて良かったし。
この髪も、このメイクも、大好きだし。
私は好きな恰好してるだけで、何にも悪いことなんかしてないし。
それに。
(蒼生くんに会いたいんだもん)
その時。
他のK高生と同じように参考書を見ながら駅に向かって歩いてくる、ひとりの男の子に目がとまった。