そのラインを越えて

「怖ぇよ」

ゆっこが引いている。

私だってさすがに反省してる。



(でもさ、また会いたいんだもん……)



ゆっこはピンク色のストライプで飾った自慢のネイルを見つめながら、
「なんでそこまですんの?明らかに線、引かれてるのに」
と、ため息をついた。



「線?」

「境界線っていうの?なんか、ここからはテリトリーに入ってこないでくれって感じの」

「あぁ、なるほど。線ね」



確かに線は引かれている気がする。

ゆっこは不満そうに続ける。



「ウチらに線引くような奴なんか、放っときゃいいじゃん」



少し言いづらそうに、
「好きってわけでもないんでしょ?」
と、聞いてきた。

ゆっこの問いかけに、思わず真っ赤になってしまう。



「心愛?」



手のひらでじんわり汗がにじむ。

そばに置いていたペットボトルの水を一口飲んで、ゆっこから視線を外す。


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