そのラインを越えて
「え?まさか、あいつが心愛に線引く原因って……、私?」
ゆっこが自分を指差す。
私は頷きながら、
「おそらく」
と、返した。
「えーーーっ!?どうすんだよ、このままだと心愛も口聞いてもらえないじゃん」
「……どうしよう?」
蒼生くんにまさか、そんな過去があったなんて知らなかったから。
でも。
ギャル系女子が苦手でも。
線を引いてても。
蒼生くんが私を助けてくれたことには変わりない。
私の胸の真ん中に芽生えているこの気持ちだって。
笑ってほしい。
蒼生くんに。
引かれた線なんか、飛び越えたいんだよ。