そのラインを越えて
「人の服着てます感、めっちゃ出てるよ。やっぱり洋服は自分のものを着るのが1番だと思うけど」
そう言って、乃愛は自分の学習机にもたれてため息を吐いた。
それから、
「だいたいギャル系ってその昔に滅んだと思ってたら、なんかいつの間にか復活してるし。でもまた滅ぶかもよ?」
なんて暴言まで吐く。
「バカか!滅ぶわけないっしょ!ギャルっつーのは永遠なの!いつの時代でも進化していって、常に最新なの!」
私の反論に興味もない乃愛は、「あっそ」とひと言だけ返して、私に背を向けて学習机に向かう。
「別に姉ちゃんが気に入った洋服貸してあげるけど、マジ似合ってないからね?ギャルじゃない姉ちゃんなんて、想像できないんだよね」
カリカリと何かを書き始めた。
宿題をしているみたい。
そんな乃愛の背中を見つめた。
(でもさ、蒼生くんはギャル系の私じゃ、嫌かもしれないんだよ)