そのラインを越えて
日曜日はすぐにやってきた。
「どうしよう?」
結局、私は乃愛から借りた黒地に白い小花の模様が入った、マキシ丈のワンピースを着て、ゆるふわなキャメル色のカーディガンを羽織り、鏡の前で悩んでいる。
似合わない。
なんていうか、私じゃない。
「無理してます感が、満載な感じ」
蒼生くんは、こういう服を着た女の子が好きなのかもしれない。
いや、分かんないけど。
でも。
普段の私のギャル系の服装よりかは、好きなのかも。
(この服、着て行ったほうが無難かも)
分かってる。
分かっては、いる。
「蒼生くんに、好感持たれたい」
だって。
好き、なんだもん。
恩人だからっていうことを抜きにしても。
人のために行動を起こせる蒼生くんが、その優しさや、勇気が。
本当に好き。
尊敬もしてる。
「そんな人に、わざわざ嫌われるような恰好をするの?」
独り言をハッキリ呟く。
鏡の中の私に向かって、問いかけるように。