そのラインを越えて
「蒼生くんって普段、どこで遊ぶの?蒼生くんのこと、教えてよ!」
ニィッと笑ってみせる。
蒼生くんは相変わらず、警戒したような顔をしているけれど。
それでも、
「普段遊ぶところ、ですか……?」
と、真剣に考えてくれた。
蒼生くんは、
「少し歩きますけど」
と、私と目を合わさないまま、歩き出した。
私は置いていかれないように、蒼生くんにかけ寄る。
そんな私に気づいたのか、蒼生くんは歩く速度を緩めてくれた。
(私に合わせてくれてる?)
蒼生くんの優しさに、胸がときめく。
嬉しい気持ちが心の中でぷくぷく膨らんでいった。
15分ほど歩いた。
蒼生くんの足が大型書店の前で止まる。
「本屋?よく来るの?」
「あの、……はい」
「私、本屋とか久しぶりに来たかも!」
「えっ!?」