そのラインを越えて

協力



蒼生くんと、書店から出てきた。

10分くらい歩いて、大きな公園にやって来た。

たくさんの遊具がある。

私達は誰も使っていないブランコに座った。

必然的に隣同士に座っていると思うと、密かにドキドキした。

隣同士と言っても、間隔は空いているのだけど。

手には、書店のロゴが入った紙袋。

蒼生くんオススメの、少年漫画。



「家に帰ったら速攻で読むからね」



そう言うと、蒼生くんは嬉しそうに頷いた。



「絶対に面白いので、是非」



目は合わせてくれない。

蒼生くんは真っ直ぐに前を向いたまま。



(やっぱり)



私は淋しさを感じた。

だって。

私と蒼生くんの間には。

一本の線が見えるみたいで。



(境界線……かぁ。この引かれた線は、まだ私の前から消えてくれないんだ?)



「なんで?」



思わず、口に出していた。



「なんであの日、大通りで私のことを助けてくれたの?」



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