そのラインを越えて
ギャル系女子が苦手なんでしょう?
「え?ものすごく具合悪そうだったから、です」
蒼生くんは私を見ないまま、答えてくれる。
「具合悪そうで、このまま放っておけないって思って。気づいたらスマートフォンでN高の電話番号を検索していて……」
当たり前のことを、何故聞くんだ?みたいな蒼生くんの表情。
(ズルいなぁ……)
蒼生くんは、蒼生くんのままで。
簡単に私の恋心を膨らませてしまうんだから。
(本当に優しい人なんだなぁ)
その時。
「すみません!」
ブランコの近くに、泣きべそをかいた少年がやって来た。
小学校低学年くらいに見える。
「スマホ、スマホを貸してくださいっ」
ただならぬ様子に、私はブランコからおりて、少年のもとへ行った。
蒼生くんも続いて来てくれる。
「あんた迷子?大丈夫?」