そのラインを越えて
蒼生くんは私と目を合わせて、にっこり笑ってくれる。
ドキッ!
心臓が飛び跳ねた。
(何、その笑顔。カッコイイんだけど!)
「田中さんは怖い人じゃなくて、素直で真っ直ぐな人ですよね」
「そ、そうかなぁ〜?」
なんか照れるんですけど……!
「さっきもそう。猫アレルギーなのに、あの子と猫のために一生懸命に行動して。良い人なんだなって思いました」
「や、やだなぁ!普通だって!」
「きっと田中さんにとっての『普通』なんだと思います。でもオレにとっては『特別』な行動に見えました」
「……」
何?
心臓がドキドキとうるさい。
まるで全身が心臓になったみたい。
「あっ、でも。アレルギーを甘くみてはいけないと思います。気をつけてくださいね」
蒼生くんはそう言って、またニコニコしてる。
私は、
「はい、気をつけます……」
なんて、小さい子供みたいな返事をした。