そのラインを越えて
『オレにとっては「特別」な行動に見えました』
頭の中で蒼生くんの言葉がキラキラ輝いて、まるで星屑みたいに降ってくる。
ねぇ、蒼生くん。
蒼生くんだって、そうだったんだよ。
私のことを当たり前みたいに助けてくれたこと。
『特別』な行動を起こしてくれたから。
この恋は始まったんだよ。
「ねぇ、蒼生くん」
私は立ち止まった。
蒼生くんも私を待つように、振り返って立ち止まる。
「まだ、引いた線はある?」
「えっ?」
真っ直ぐに蒼生くんを見つめた。
ふたりの間にある、一筋の線。
私、その線を越えてもいいかな?
「田中さん?」
「蒼生くん、私はさ……」
……怖がられてた。
派手な見た目だし。
怒鳴ったこともあったし。
恰好を変えようとも思った。
でも。
そんなの、私じゃないから。
私は。
私のままで。
その線を越えたくて。