そのラインを越えて
ゆっこの優しさの塊を手渡された気持ちになって、何故か私が照れてしまった。
無事に授業も済んで。
放課後。
私は自分の席に座って、メイクポーチの中身を出していた。
「何してんの?メイク直し?」
ゆっこが近づいてきて、机の上に広がるメイク道具を指でいじりながら聞いてきた。
「そ。これから人探しに行くんだよね」
だからきっちりメイクを直しておきたい。
「人探し?あ。もしかして、助けてくれた恩人のK高生?」
「当たり。K高ってK駅前にあるじゃん?K駅前で待ち伏せしたら会えるかもって」
「大通りで会ったんでしょ?大通りで待てば?」
ひらめいた顔つきのゆっこ。
「それも考えたけどさー、たまたまこっちに来てただけな可能性もあるじゃん?」
「そっか、なるほどねー。賢いじゃん、心愛!」
ゆっこと話しつつ、アイラインを引いていく。
ちょっとライン、太くなったかな?