甘くてとろける、そんなキスを。

いつでも山崎家の長女として振る舞い、息付く暇はあまり無かった。


そんな中、私は好きな人ができて。


それが黒島優太先輩だった。


学校では唯一好きな人がいるところで楽しめる場所。友達とも恋バナをしたり、先輩に話しかけたりと楽しく過ごしていた。


恋をするってこんなにワクワクするなんて知らなかった私は順風満帆な学校生活を送っていた。


ある日、先輩と廊下でバッタリ会って、話が弾んだ。



『先輩、先輩は……好きな人がいますか？』


気づいたらそう聞いていた。


だって先輩はイケメンでクールで学校でも人気者。好きな人が1人や２人いてもおかしくない。


そもそもこんな地味な私と話をしていることが奇跡みたいなものだ。だから、私の恋は……気持ちを伝えずに封じこもうとした。


先輩はこれから受験勉強が本格的に始まるし、家の事だって忙しいだろうし。


こんな私がでしゃばっちゃいけない気がして。


先輩に好きな人を聞いて私の恋は終わりにしようと思っていた。