勇者からのプロポーズはお断りいたします。
 ニャンとくんはフライムートに言わせると、使役獣と呼ばれるものに分類されるらしい。他の使用人たちとは違い、必要に応じて獣の姿をとるのだ。その姿がユリアナには猫に見えるのだが、時と場合に応じてその姿を変えるらしい。つまり、常に猫の姿というわけではないらしい。なので、ニャンとくんには『ヤン』という名前を付けてみた。
 ニャンと、ニャント、ヤンと、ね。

 ニャンとくんはその名前を非常に喜んでくれた。ヤンの喜び方が可愛かったので、ユリアナが頭をなでなでしてあげたところ、その腕をフライムートに掴まれ「もう、止めろ」と言われてしまった。
 彼もなでなでしてほしいのかしら、と思ってその頭をなでてあげたら、また「止めろ」と言われてしまった。

 本当にこのフライムートという男は難しい。

< 13 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop