勇者からのプロポーズはお断りいたします。
 ヤンから奪った腿の上に、フライムートは自分の頭を乗せ横になった。もしかしたら、もしかしなくても、この枕は寝心地がいいのかもしれない。

 ここに来た用事も忘れて、フライムートも眠りに誘われてしまった。

 先に目を覚ましたのはユリアナだった。なんか腿の上あたりが重いんだけど、という感覚。ヤンが人型になったのかしら、とも思った。寝ぼけながらその腿の上にある頭に手を当ててみると、少々大きいような気がする。

「……っ」

 ユリアナは一気に目が覚めた。驚いて膝を立てたら、腿の上にあった頭がゴロンと落ちた。

「あ」

「何をする」
 右手で後頭部を押さえながら、フライムートが起き上がる。

「ごめんなさい。まさか、あなたがいるとは思わなくて」

「ヤンは良くても、私はダメなのか?」

「いえ、そういうわけではないけれど」

 フライムートはユリアナの隣に座りなおした。
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