エリート副操縦士は年下妻を過保護に愛を注ぎたい。



「……美味しいです。とても」

「そう。良かった。ここのパンは自家製パンでね、りんごの酵母を使っているらしいんだ。女の子には人気のお店なんだよ」


 八神さんはそう言うと、食パンにかぶりついた。もしかして私が口に入れるの待ってくれていたのかな……? もしかしたら、お医者さんに言われたこと知っているのかもしれない。だから調べてまで誘ってくれたのかも。


「あ、ありがとうございます。八神さん。あのなんてお礼をしたらいいか……」

「八神さんって、柚葉ちゃんも八神になるんだから名前で呼んでよ。それに奥さんになるんだからお礼とかいいんだよ」

「そう、ですよね。では律さんって呼びます……改めてよろしくお願いします」


 私がお辞儀をすれば「そういうのはいいから、食べよ」と律さんは言ってくれた。だから私は食パンを手に取りちぎって食べた。ゆで卵も殻を剥いて食べると少し塩味がして美味しい。本当に久しぶりで、改めて健康的な食事をしてこなかったんだなと思う。

 健康的な生活の前に食費を浮かせるためにご飯抜いてたし、そのくせ寝る間も惜しんでバイトとか内職とかしていたから食べても冷たいものだったし冷静に考えるとヤバい生活だわ……



< 16 / 59 >

この作品をシェア

pagetop