ビター彼氏を甘くさせたい。
果緒くんを甘くさせましょう
「果緒くんって、自分がビター彼氏だって思わない?」
桜が散り、終わりかけの春。
となりにいる彼と付き合って、半年と16日経った。
日にちまでおぼえてるなんてやばすぎる、と思ったそこのあなた。
わたしも思う、だけどね、となりにいるこの果緒くんは、
残念ながら記念日だとかわたしの思考回路だとか、そんなことすら興味がない。
「……ビター彼氏ってなに?」
放課後、はやく帰りたがる果緒くんを強引に誘い出し、わたしの家にお招きし、いまはわたしの部屋でまったりしている。
さっきまでのわたしの世間話には「あー」とか「へえ」とかしか言わなかったくせに、この話題には食いついてきた。眠そうにあくびしながら。
「えっ、果緒くんそんなことも知らないの? わたしのほうが実は賢いかもね、えへへ」
「うるさい。てか、それどこ情報?」
「あゆ情報!わたし作だよ、“ビター彼氏”!果緒くんにぴったりでしょ?」
「うざあ……、てか、だから、なにそれ」
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