ビター彼氏を甘くさせたい。
「だって、あゆ、前、……束縛あんまされたくないって言ってた」
「え……っ、言ったっけ、そんなこと……?」
ダメだ。記憶にない。
果緒くんとの会話は一言一句覚えているはずなのに(さすがに嘘だけど)、わたしのしたことが……!
なんとか思い出そうとするわたしに、果緒くんは首を横に振る。
「おれと、付き合う前。
なんか、教室で友だちと話してたの聞こえた」
「つきあうまえ……なのに、わたしのこと気にしてたの?」
そもそも、わたしたちが付き合ったのも、わたしが当たって砕けろ精神で果緒くんに告白したのがはじまりだった。