君は冬の夜に咲いた【完】
純愛
久しぶりに繋いだ乙和くんの手は、昔と変わらず私よりも大きくて、しっかりとしていて、温かかった。
私が乙和くんから離れないように強く手を握る。そんな乙和も強く離れないように握っていた。
だから2人の手が、離れることはなく。
「邪魔しちゃダメだから帰るよ、2人ともまた明日!」と狭川くんは帰っていき、2人きりになった私たち。
私を家まで送ってくれるらしい乙和くん…。
1歩1歩進むたびに、泣きそうになった。
もう、こういう関係になるとは思わなかったから。
「乙和くん、ごめんなさい…盗み聞きして……」
静かな夜道では、やけに私の声が響いた。すごく小さな声だったのに、静かな夜道のおかげで乙和くんの耳に届いたらしい。
乙和くんは優しく笑った。
「謝らなくていい、──…はるに言うって決めたのは、俺だから。っていうか、謝るなら俺の方なんだよ」
「え?」
「病気のこと、はるに言おうと思った。だけどはるは優しいから俺のそばにいてくれると思った…、はるが好きだから、言えなかった」
「…うん」
「あと、もしはるが俺を拒絶して、はるから別れたいって言われるのも怖かった…」
「言うわけない……」
「うん、だから、俺が悪い。俺が弱かっただけ」
「そんな事ない、乙和くんは強いよ。だって私に教えてくれたもん。向き合おうって思ってくれた。すごく嬉しかった…」
「はる…」
「信用してくれて嬉しかった…」
「うん……」
小さく微笑んでくれた乙和くんは、「俺ね?」
と、私の手を引きながらゆっくり足を進ませる。
「はるの優しいところ、好きになったの」
「…優しいところ?」
「嫌な顔しなくてノート貸してくれて。ああ、いい子だなって思ったらいつの間にか好きになってた」
私の頬が赤くなるのが分かった。
さっきまで泣いて、腫れぼったい瞼も、赤がうつりそうだった。
「わ、たしも、…」
「え?」
「私も、乙和くんの優しいところがすき、」
恥ずかしくて、乙和くんの顔が見えなくて。
「人の悪口をいわないところとか…」
「…」
「いっぱいある…」
「…」
「っていうかね? 好きだからこそ、全部を好きって思うの…」
「…」
「乙和くんに嫌なところなんて、ないよ」
私が乙和くんから離れないように強く手を握る。そんな乙和も強く離れないように握っていた。
だから2人の手が、離れることはなく。
「邪魔しちゃダメだから帰るよ、2人ともまた明日!」と狭川くんは帰っていき、2人きりになった私たち。
私を家まで送ってくれるらしい乙和くん…。
1歩1歩進むたびに、泣きそうになった。
もう、こういう関係になるとは思わなかったから。
「乙和くん、ごめんなさい…盗み聞きして……」
静かな夜道では、やけに私の声が響いた。すごく小さな声だったのに、静かな夜道のおかげで乙和くんの耳に届いたらしい。
乙和くんは優しく笑った。
「謝らなくていい、──…はるに言うって決めたのは、俺だから。っていうか、謝るなら俺の方なんだよ」
「え?」
「病気のこと、はるに言おうと思った。だけどはるは優しいから俺のそばにいてくれると思った…、はるが好きだから、言えなかった」
「…うん」
「あと、もしはるが俺を拒絶して、はるから別れたいって言われるのも怖かった…」
「言うわけない……」
「うん、だから、俺が悪い。俺が弱かっただけ」
「そんな事ない、乙和くんは強いよ。だって私に教えてくれたもん。向き合おうって思ってくれた。すごく嬉しかった…」
「はる…」
「信用してくれて嬉しかった…」
「うん……」
小さく微笑んでくれた乙和くんは、「俺ね?」
と、私の手を引きながらゆっくり足を進ませる。
「はるの優しいところ、好きになったの」
「…優しいところ?」
「嫌な顔しなくてノート貸してくれて。ああ、いい子だなって思ったらいつの間にか好きになってた」
私の頬が赤くなるのが分かった。
さっきまで泣いて、腫れぼったい瞼も、赤がうつりそうだった。
「わ、たしも、…」
「え?」
「私も、乙和くんの優しいところがすき、」
恥ずかしくて、乙和くんの顔が見えなくて。
「人の悪口をいわないところとか…」
「…」
「いっぱいある…」
「…」
「っていうかね? 好きだからこそ、全部を好きって思うの…」
「…」
「乙和くんに嫌なところなんて、ないよ」