この恋は、『悪』くない。ー番外編ー ボクが見た世界
「アメ…辛い…」
あの人が帰った後
アナタは急に寂しそうに
ボクを抱きました
どぉしました?
さっきまで幸せそうに笑ってたじゃないですか
あ、わかりました
あの人が帰ったから
寂しいのですね
ボクでは役に立たなくて
スミマセン
「沙和のこと、好きなのに…言えねー…
…
沙和には幸せになってほしいから…
オレじゃダメなんだ
…
最近スゲー幸せだった、オレ
…
アメと、沙和と…
あの時に戻ったみたいな気持ちになってた
…
けど…
もぉオレたち中学生じゃねーし…
…
ただ好きとか
一緒にいたいとか
それじゃ、ダメなんだよな…
…
結婚とか家族とか…
将来、一生…
…
そんな重いこと
オレに背負えるかな…って…
…
沙和のこと
幸せにできるかな…って考えると
オレじゃねんだよな…
…
沙和は沙和の会社の人とお似合いだなんて…
沙和を試すようなこと言ってさ
…
ホントはオレといて欲しいのに…
ダセー、オレ
…
きっともぉ、沙和来ねーだろーな…
…
バカだ、オレ
…
せっかく会えたのに…
また来てくれたのに…」
ボクが喋れないから
アナタはつまらないのですね
ボクがあの人みたいに喋れたら…
ニャー…
言葉にしたくても
ボクはコレが精一杯です
「でも、もし…
また沙和がここに来てくれたら
ちゃんと考えようかな…
…
って…
フ…来るわけねーし…
ホント、笑えるわ」
アナタは笑ったけど
目の奥は
すごく寂しそうでした
雨を降らせないようにしてるのが
ボクにはわかりますよ
雨が降ってもいいですよ
ボクがアナタの雨を舐めますから…
ボクにはそれぐらいしかできません