歳の差 ~15歳年下男子は、恋愛対象ですか?~
言葉が見つからない。
どう言えば、誤解の無いように北原くんに伝わるのだろうか。

でも・・・もうそのまま言うしかない。


「電話した時・・・会いたいって言えなかった。断られるの、怖くて。会いたいのは、私だけかもしれないって思ったから。」

「え?」

「私も、ありえないって考えてた。ずっと、私と一緒にいたいと思ってくれるなんて」

「原田さん・・・」

「だから『ずっと一緒にいたい』って言えなかった。北原くんの負担になりたくなかったから」


言い終えて、涙があふれた。
まばたきしたら、すぐにこぼれ落ちるほど。

ずっと黙ってた北原くんが、目を伏せて微笑んだ。


「困った。こういう時って、どうしたらいいのかな」


そう言うと、一度離れた私を自分に引き寄せた。


「俺もおんなじ。真剣に言ったら困らせるだけだと思って、ずっと言えなかった。言えないけど、好きな気持ちは止められないし、苦しかった」

「うん・・・」

「だって俺、本当に何も無いよ。まだ学生だし、お金も無いし、サッカーもできないし」

「知ってる」

「だったらどうして・・・」

「じゃあ、私のことは社会人でお金があるから、好きになった?」

「それは・・・」


ただ一緒にいたいと感じる何かが、あったからだよね。

それって、形として目に見えたり、何か目安になる数値があるわけじゃないから、本当に感覚的なものだろうけど。


「原田さんと一緒にいたいって、それだけ思ってた。なんて言うか、一緒にいると、ひとりじゃできないことができる気がし
て。何かしてほしいとかそういうことじゃなくて、一緒にいてくれたら嬉しい」

「私も、ひとりだったら気付かないようなこと、一緒だったら気付けるかなって。ただ一緒にいて、泣いたり笑ったりするだけでも、あー幸せだなって感じられる相手かなと思った」


北原くんが、手をつなぐようにして私の手をつかんだ。


「俺、もう一回聞くけど」

「うん、何?」

「俺、原田さんのこと好きになっていいよね?」

「・・・もう、好きなんでしょ?」

「そうだけど」

「私も、もう一回聞こうかな」

「何を?」

「どのくらい、一緒にいてくれる?」

「それは・・・」

「うん」


私の耳元で『死ぬまで』とささやいた。
あー、もう、倒れそう・・・♡


「あ、でもどうしよう」

「何?」

「俺、あの人に、原田さん諦めろって言われたんだった」

「あー・・・中谷さん」

「ちゃんと言わなきゃな」

「それね、いらない」

「え? いらないってどういうこと?」

「付き合うとか、そういうの無かった事になったから、もういらないの」

「無かった事になった? それ本当?」

「本当に。なんだかね、一緒に映画行くような人も現れるとか、最近素敵なことも起こってるらしいよ」

「何がどうなってるのか理解できない・・・」

「いいのいいの」

「ってことは・・・」

「そう。誰にも遠慮はいらない・・・ってことかな」


じゃあ、と北原くんは私にキスをして。
その後、私が北原くんの首に両手を回してキスをして。

それから朝までの間。
私たちは、数え切れないほどのキスをした。


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