歳の差 ~15歳年下男子は、恋愛対象ですか?~
中谷さんからは、初デートの夜も、その次の日も何も連絡は無かった。
どうしてだろう。
私、何かマズイことしたのかしら。
支払いをして、タクシーに乗せて帰して・・・。
もしかして一気飲みで体調崩して、寝込んでるとか・・・。
仕事中とはいえ、いろいろ考えていたら何だか心配になってきて、思わず電話の受話器を上げた。
でも、一瞬迷って戻した。
なぜ私から掛けなければいけないの?
そんな気持ちがわき上がってきたから。
中谷さんも言っていたけれど、私たちは仕事仲間なのだ。おまけに同い年。
だから、どこかで対等だという感覚があって、お金払ってタクシーで帰すところまで面倒見たのに、何のお礼も無いわけ?と思ってしまった。
やっぱりかわいくないな~。苦笑いしつつ、そんな自分も好きだった。
だってそのくらい、対等だと考えられるくらい、これまで頑張ってきたんだもの。
ふと視線を上げると、社長が私を手招きしているのが見えた。
「お呼びですか?」
「うん。瑛美ちゃんに頼みたいことがあって」
「何でしょう? 新しい案件ですか?」
「実は、来週から大学生がアルバイトで来ることになった」
「え?」
「いや、仕事を見せてやってほしい子がいるって、彩の主人に頼まれてさ」
「それは・・・断れないですね。じゃあ、席を用意して、アシスタントの業務を少し割り振ればいいですか?」
「そう・・・だね。簡単なやつでいいから」
「わかりました。年金関連でちょっと溜まってる雑務があるので、それをやってもらえると私も助かります」
「良かった。よろしく頼むね」
中谷さんのことでモヤモヤしていたけれど、新しい仕事で気持ちを切り替えようと思った。
少し違うことに頭を使った方が、頭を冷やして考えられるような気がしたから。
仕事を終え、いつもよりお腹が空いていることもあって彩に寄ることにした。
まだ18時を回ったばかりだからか、それほど席は埋まっていなかった。
「こんばんは」
「あら、瑛美ちゃんいらっしゃい。ひとり?」
「はい。お腹空いちゃって」
「今日、瑛美ちゃんの好きな煮物あるわよ。いま出すわね。えっと、何飲む?」
「あー、今日はビールで」
「珍しいわね」
「ちょっとそういう気分で」
どういう気分かしら、と聖美さんは笑いながらビールを出してくれた。
「そういえば瑛美ちゃん、中谷くんとのデートはどうだった?」
「・・・そのことは聞かないでください」
「ふふ、何かあったのね」
「あったというか、無かったというか」
「えー、どういうこと?」
「もう全部言っちゃいたいくらいですけど、オトナなので止めておきます」
「ま、気が向いたらでいいわよ。はい、煮物」
「わ~、美味しそう!」
テーブル席で、大学生がシューカツの話で盛り上がっていた。
どんな会社を受けているとか、面接官がどうとか。
そういえば、この間ランチを取りに来た時にお財布を拾ってくれた男の子も、大学生くらいだったかな。
あの時初めて会ったけれど、よくここに来るんだろうか・・・。
「こんばんはー」
この声・・・聞き覚えのある声に、思わず振り返って入口の方を見た。
やっぱりそうだ。そこには、あの男の子が立っていた。
どうしてだろう。
私、何かマズイことしたのかしら。
支払いをして、タクシーに乗せて帰して・・・。
もしかして一気飲みで体調崩して、寝込んでるとか・・・。
仕事中とはいえ、いろいろ考えていたら何だか心配になってきて、思わず電話の受話器を上げた。
でも、一瞬迷って戻した。
なぜ私から掛けなければいけないの?
そんな気持ちがわき上がってきたから。
中谷さんも言っていたけれど、私たちは仕事仲間なのだ。おまけに同い年。
だから、どこかで対等だという感覚があって、お金払ってタクシーで帰すところまで面倒見たのに、何のお礼も無いわけ?と思ってしまった。
やっぱりかわいくないな~。苦笑いしつつ、そんな自分も好きだった。
だってそのくらい、対等だと考えられるくらい、これまで頑張ってきたんだもの。
ふと視線を上げると、社長が私を手招きしているのが見えた。
「お呼びですか?」
「うん。瑛美ちゃんに頼みたいことがあって」
「何でしょう? 新しい案件ですか?」
「実は、来週から大学生がアルバイトで来ることになった」
「え?」
「いや、仕事を見せてやってほしい子がいるって、彩の主人に頼まれてさ」
「それは・・・断れないですね。じゃあ、席を用意して、アシスタントの業務を少し割り振ればいいですか?」
「そう・・・だね。簡単なやつでいいから」
「わかりました。年金関連でちょっと溜まってる雑務があるので、それをやってもらえると私も助かります」
「良かった。よろしく頼むね」
中谷さんのことでモヤモヤしていたけれど、新しい仕事で気持ちを切り替えようと思った。
少し違うことに頭を使った方が、頭を冷やして考えられるような気がしたから。
仕事を終え、いつもよりお腹が空いていることもあって彩に寄ることにした。
まだ18時を回ったばかりだからか、それほど席は埋まっていなかった。
「こんばんは」
「あら、瑛美ちゃんいらっしゃい。ひとり?」
「はい。お腹空いちゃって」
「今日、瑛美ちゃんの好きな煮物あるわよ。いま出すわね。えっと、何飲む?」
「あー、今日はビールで」
「珍しいわね」
「ちょっとそういう気分で」
どういう気分かしら、と聖美さんは笑いながらビールを出してくれた。
「そういえば瑛美ちゃん、中谷くんとのデートはどうだった?」
「・・・そのことは聞かないでください」
「ふふ、何かあったのね」
「あったというか、無かったというか」
「えー、どういうこと?」
「もう全部言っちゃいたいくらいですけど、オトナなので止めておきます」
「ま、気が向いたらでいいわよ。はい、煮物」
「わ~、美味しそう!」
テーブル席で、大学生がシューカツの話で盛り上がっていた。
どんな会社を受けているとか、面接官がどうとか。
そういえば、この間ランチを取りに来た時にお財布を拾ってくれた男の子も、大学生くらいだったかな。
あの時初めて会ったけれど、よくここに来るんだろうか・・・。
「こんばんはー」
この声・・・聞き覚えのある声に、思わず振り返って入口の方を見た。
やっぱりそうだ。そこには、あの男の子が立っていた。