学校1人気の先輩は私だけを溺愛する。
「ね、名前で呼んでよ」

「い、今ですか?」

「うん、今。……嫌?」

……仕方、ない。

すごく、恥ずかしいけど……。

「颯斗、先輩……」

「……先輩はダメ。呼び捨てで呼んで」

よ、呼び捨て……⁉︎

先輩をつけて呼ぶのに精一杯の私には難易度が高すぎるっ……。

「分かった。まだいいよ、慣れたら呼んでね」

気遣ってくれたのか、そう言ってくれた先輩に胸を撫で下ろす。

よ、よかった……。

まだ、名前呼びも慣れそうにないな……。

「愛奈、って呼んでいい?」

「え……?」

私のことを呼び捨てで……?

そんな人、今までにいなかった。

う、嬉しい……っ。

ずっと……密かに憧れていた。

「はい!呼んでください……!」

「……ありがとう」

「あ、着きました! さようなら」

「うん、バイバイ」
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