学校1人気の先輩は私だけを溺愛する。
じゃあ……1人で、勘違いしてたってこと?

「俺が愛奈ちゃんのこと、嫌いになるはずないでしょ」

「……っ」

そんな、はっきりと……。

「あれ〜? 愛奈〜!」

聞き覚えのある声に肩が跳ねる。

「お姉、ちゃん……」

声のした方に目を向けると、そこにいたのは私が思った通りの人だった。

「どうしたの? どこかに行くの〜?」

「えっ、と……」

「あ! 颯斗くんも!」

「……」

「ちょっと〜颯斗くん、無視しないでよ〜!」

……どうして、お姉ちゃんが……。

車じゃないの? 

「ねえ、愛奈〜どこに行ってるの?」

「……」

言いたく、ない……。

言ったらきっと、お姉ちゃんが着いてくる。

そんなの、嫌だっ……!

こんなに性格が悪いなら、先輩は好きになってくれないだろうな……。

「……早く言ってよ」

「……」

「ねえ、愛奈?」

「美里さん、愛奈ちゃん嫌がってるし……何より、俺が言いたくない」

「なっ……!」

「愛奈ちゃんと2人で行きたいから……」
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