学校1人気の先輩は私だけを溺愛する。
「なんなの⁉︎ あの人!」
空き教室に入ってすぐに声を荒げた由奈ちゃんに、苦笑いを返す。
「わざわざ教室に来てさ……どうせ愛奈ちゃんはお姉ちゃんのこといじめてないんでしょ?」
「え……う、うん……」
「なんで皆んな騙されてるのかな……」
だ、騙されてる……。
「わ、私も悪いんだよ……!」
お姉ちゃんや皆んなだけが悪い……なんてことはない。
「もー! いい子〜!可愛い〜!」
そう言いながら頭を撫でられる。
か、可愛い……?
私には可愛いなんて言葉は似合わない……。
『こっちに来ないでよ……あんたって、本当に可愛くないわね』
昔、言われた言葉が頭に蘇る。
「愛奈ちゃん?」
「あ、ど、どうしたの?」
「愛奈ちゃんの顔が曇ってるような気がしたから……」
「え……?」
顔に出てたかな……。
由奈ちゃんは優しいから、心配させちゃったかも……。
「大丈夫だよ……!」
「良かった……」
由奈ちゃんと話し終わって教室に入ると、皆んなの視線が、刺さる。
「……」
「愛奈ちゃん……私、やっぱりあの人許せない……」