学校1人気の先輩は私だけを溺愛する。
なんで……由奈ちゃんは私のためにそこまで怒ってくれるんだろう……。





昼休みになり、また教室が騒がしくなる。

「あ! 美里先輩だ……!」

お姉ちゃん……?

……また来たのかな……。

「ねえ、あいつを庇うわけじゃないけど……わざわざさ、自分をいじめてる妹の教室に来る?」

クラスの子の一言でクラスが静まる。

「確かに……」

「言われてみればそうだよね」

「なんか……わざといじめられてるアピールしてる感あるよね……」

またクラスが騒がしくなる。

「ちょっ、ちょっと皆んな……私を、疑うの?」

お姉ちゃんの一言でクラスの人達が視線を下げる。

「べ、別に……疑ってるわけじゃないよ!」

「う、うん! 皆んな美里先輩の味方だよ!」

「え〜でも私は……疑うけどね」

え……?

そう言ってくれたのはー由奈ちゃんだった。

「由奈、ちゃん……」

「なーんか怪しいよね〜信用ならないし」

味方、してくれてる?

由奈ちゃんは、本当のことを知っているから庇ってくれたのかも。

「大体、学年違うからこの先輩のことあんまり分かんないし……他の人達は?」

「……」

「この先輩がいい人だって……愛奈ちゃんにいじめられてるって、どうして分かるの?」

「……確かに」

「なんで私、味方してたんだろ……」

「え⁉︎ み、皆んな……酷いよ……」

お姉ちゃんが俯いて、手で顔を覆う。

「私は……悪くないのに……」

「ふーん……じゃあ、質問。 なんで先輩は……わざわざ教室に来るの?」

さっき、クラスの人が言ったセリフを由奈ちゃんがはっきり口にする。

お姉ちゃんが顔をあげて、焦ったような顔をする。

「何かのアピール? あ、それとも……自分を悲劇のヒロインにして、愛奈ちゃんを悪役にしたい……とか?」

「……っ」

お姉ちゃんが顔を歪める。

「図星……?」

「ち、違うよ……! 酷い……!」

「……可哀想……」

「誰も味方しないのはなんか……」

「本当にこいつがいじめてるかもしれないし」

そう、だよね……。
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