いつでも側に〜一途な両片想い〜
 活躍すれば、嫉妬の眼差しを受けるのは鈴だ。

 玲子からは、期待のプレッシャーを受けるのも鈴だ。

 小さいながらに、カメラの前やスタジオでは完璧な女優となるが、いつからかそれ以外では笑わなくなった。感情も表に出さない。

 ところが、玲子は鈴が売れることに必死で、全く鈴自身を見ようとはしない。笑わない鈴に気づいてもいない。

 褒められればわが子の自慢に鼻高々になるが、実際の鈴には興味がない。

 レッスン中は、羨望の眼差しで寄ってくる親達に、鈴の自慢を聞かせる。仕事の内容は、絶対に漏らしてはいけないルールは辛うじて守っているが、本当は自慢したくてしょうがない。

 休憩で鈴が出てきても、わが子を気にする様子もない。

 隅のベンチに座る鈴は今にも消えそうだ。

「鈴ちゃん、楽しい?」

「……」

 たまたま、鈴に話しかけるチャンスがあった直人が聞くが、返事はなかった……。



 
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