いつでも側に〜一途な両片想い〜
 鈴が小学生になっても、仕事中心の生活。

 義務教育のため、時間があれば学校にも行くが、仕事がなければの話だ。

 当然、友達ができるはずもなく、学校に行っても一人で静かに座っているだけだ。

 幸いなことに勉強は好きで、撮影の合間などに教科書を読んでいると、台本感覚でスラスラ頭にはいってくる。

 勉強でわからないところがあると、教えてくれるお兄ちゃんがいる。

 そう、兵藤アカデミー内で、直人が教えてくれるのだ。直人がいなければ、勉強に遅れていただろう。

 鈴にとっては自分のことを理解してくれるお兄さん的存在だ。

 直人にとっても、自分にだけ心を許してくれている鈴が可愛くてしかたない。

 十歳も下の子に惹かれていることは、自分の胸の内におさめている。高校生にもなると周りは付き合いが盛んになるが、同級生には見向きもしない。

 
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