いつでも側に〜一途な両片想い〜
 このころから、兵藤アカデミーでも鈴のことが問題になり始めていた。

 玲子の勝手な行動が目立つようになってきたのだ。

 付添のはずだった母親の存在が、いつしかマネージャーのように現場でも動き、更には勝手に仕事を受けてくるのだ。

 何度か事務所が注意しても、それなら移籍すると言い出す始末。

 直人は、母親の存在もだが、鈴が心配でならない。

 相変わらず、カメラの前では完璧だが、普段は無表情。仕事は完璧で、母親以外の問題はないのだが、心が全く見えない。

 この年代の子が見せる、明るさや楽しさが全く存在していないかのようだ。何を考えているのかすら全くわからない。

 このままでは良くないが、直人にも余裕がなくどうすることも出来ないまま……。

 早く一人前にならなければ……。

 
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