いつでも側に〜一途な両片想い〜
 鈴が高校生になる頃だった。あれだけ、勝手な行動をしていた母親の姿を見かけなくなった。

 撮影所やスタジオ入りも、鈴が一人で現れる。

 玲子が四六時中ついてきていたので、専属のマネージャーはついていなかったが、一人となると話は変わる。鈴ほどの出演数を誇る女優となれば、マネージャーをつけなければ危ない。

 話を聞いた直人は、事務所の社長としてではなく、鈴の馴染みのお兄ちゃんとして話を聞く。鈴の警戒心をなくし、素直に話をしてもらうためだ。

「最近、お母さんを見ないね」

「えっ?あっ、うん……」

 カメラの前とは全く違う素の鈴が返事をする。

「体調でも悪いのか?」

「ううん」

「何があった?」

「彼氏が出来たから……」

「……。家にも帰らないのか?」

「たまに……」
< 17 / 54 >

この作品をシェア

pagetop