いつでも側に〜一途な両片想い〜
「ただ、私も今やっと一人前の大人として動けるようになったところで……」

 悔しさが滲んでいる直人に嫌な予感しかない。

 そこから、鈴のこれまでの生活状況を聞き、父親は唖然とする。

「今は、うちの実家で生活をしていることと、鈴さんの収入が母親に入っていること、彼氏という存在がいることで、鈴さんに接触してくることはありませんが、私は鈴さんが成人するのをきっかけに、鈴さんの収入は鈴さんのものにしたい」

「当たり前です。鈴に働かせて、全て自分で使っているなんて……。しかも、鈴を放置して……」

 鈴の父親からは、後悔の涙が滲む。

「兵藤さん、鈴を、鈴を母親から解放してやって下さい。お願いします」

 深く頭を下げられた。
< 33 / 54 >

この作品をシェア

pagetop