いつでも側に〜一途な両片想い〜
 何かを思い出しているのか、一生懸命考えている姿すら可愛い。

 母親から解放された鈴は、本人無自覚かもしれないが、表情が輝いている。見守るだけのつもりが、想いが溢れそうになりながら、鈴の言葉を待つ。

「やっぱり、映画かなぁ。監督やたくさんのスタッフさん、共演者の皆さんと何ヶ月も掛けて、最高の作品を作り上げていく喜びに参加できるのが、大変だけど楽しい」

 ドキッとするほどの妖艶な表情で女優畑中鈴は語る。

 最初は、母親のエゴから始まった芸能生活かもしれないが、鈴には天職だったのだろう。

「鈴はこれからもっともっと活躍するよ」

 直人は確信している。社長になる前から見てきたが、鈴ほど輝く女優は限られている。

 いずれは、自分の手から離れていくかも知れない切なさが押し寄せる……。
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