いつでも側に〜一途な両片想い〜
「鈴、俺は狡いんだ。赤ちゃんの時に、鈴を見た瞬間、気持ちを持っていかれた。でも、俺は十歳で鈴は赤ちゃん、可愛い赤ちゃんを見たからだと誤魔化していた。それから、成長するたびに可愛く美しくなる鈴しか見えていなかったんだ。だけど、人には言えなくてずっとずっと見守ると綺麗事で、気持ちを抑えていたんだ」

「直人さん……」

「俺は親父の跡を継ぎ、鈴の所属する事務所の社長になった。社長が事務所の女優とスキャンダルを起こすなんて言語道断だと、理由をつけては自分を偽ってきた。鈴に言わせてしまう不甲斐なさに自分が情けないよ」

「情けなくなんてないです。私の中で直人さんは、ずっとずっとヒーローなんですから」

「鈴……」


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