婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

招待状

「お父様、フローラです」

 話があると執事のバートに呼ばれて書斎の扉をノックすると

「入りなさい」

 お父様の声がしたので部屋へと入りました。
 重厚なつくりの机と椅子。執務室も兼ねている書斎の壁一面に設置された書棚には、歴代の当主が集めた様々な分野の本が整然と並べられています。我が家にも図書室はあるのですが、興味深い本を見つけるとお父様の許可をもらって借りることもあります。

 ソファに腰を下ろしたお父様の隣にはお母様もいました。
 
「座りなさい」

 私は両親の向かい側に座りました。二人揃っているということは重要な話があるということでしょう。
 お茶の準備が終わるとメイドたちが出て行き、ドアが閉まったのを確認すると、お父様が口を開きました。

「フローラ。来てもらったのはいくつか話があったからなんだ」

「はい」

 複数あるのですね。内容はわかりませんが心して聞きましょう。あと私も尋ねたいことがあったので、お父様の話が終わった後で聞いてみましょう。

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