婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

お茶会

 馬車から降りて侍女長に先導されながら、どこまでも続く緋色の絨毯の上を私はディアナと歩いています。
 案内されたのは本宮のプライベートルーム。
 ドーム型の部屋は天井が高くて開放的で、見事な細工のシャンデリアと色鮮やかなステンドグラスの窓が目を引きます。

 真っ白なテーブルクロスがかけられた大きめの四角のテーブルが二つと囲むように椅子とソファが置かれていました。ここがお茶会の部屋なのでしょう。

 馬車の中で今日の招待客は私だけだと聞いた時には、サーと血の気が引き青ざめてしまいましたが、わたしがいるでしょうとディアナが励ましてくれたので少しは落ち着いたのですが。

 隣に座っているディアナも口を閉ざしています。
 シンと静まり返った部屋の中にいると時計の音がやけに大きく聞こえました。



 コンコン。

 そわそわとした気持ちを抱えて緊張しているとドアの音がして扉が開きました。

 入場されたのは、王妃陛下と王太子妃殿下に手を引かれたリッキー様にマロンとレイ様。


 レイ様の姿を見て少し緊張がほぐれたような気がしました。
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