婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「でも、私が見つけた時は震えて怯えてましたけど」 

「それは木の上だったからじゃないのかな? 子猫のくせに上まで登ってたもんな。ついでにローラまで」

 悪戯っぽく笑った俺を見てローラの顔が見る間に紅く染まっていく。

「レイ様、それはもう忘れてください」

 よっぽど恥ずかしいのか真っ赤な顔をして抗議してくるけど、それすらも可愛くて……

「どうしよっかな?」

 悪戯っぽく笑った俺に

「もう、意地悪です。レイ様、嫌いです」

 ぷうっと頬を膨らませたローラはプイッと顔をそむけた。
 まるで幼女が拗ねているようで幼気な彼女も可愛い。

「だって、まさか子猫を助ける女の子がいるなんて思わないじゃないか。びっくりしたよ」

「いつから、見てたんですか?」

 何かが引っかかったらしいローラが訝し気な顔をして聞いてきた。

 あっ、しまった。 
 今のは失言だったかな? 
 でも、まあ、いっか。

「マロンの鳴き声が聞こえたから駆けつけてみたら、ローラが靴を脱いで登るところだった」

「えっ? それじゃ、もしかして最初から?」

「そういうことに……なるかなあ」

 俺はとぼけてポリポリと頬を掻いた。
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