婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「王子殿下かしら?」

「そうよ。正解。フローラは早く帰りたかったとか言ってるけれど、話を聞く限りでは楽しそうだったわよね」

「……」

 そういわれてしまえば何も言えないわ。
 毅然と断り切れない優柔不断さに落ち込みつつ、食事を共にすれば会話も弾んで楽しいひとときを過ごしたことに、自分でどう折り合いをつければいいのか答えが見つからなくて迷っているのよ。

「もしかして、本心は嫌悪感が出るくらい顔を見るのもイヤだったとか、背中に悪寒が走るくらい話すのもイヤだったとか……もしかして、そうだったの?」

 私はギョッとして、とっさに首を左右に振りました。

 嫌悪感? 悪寒?

 ディアナは何を言い出すんでしょう。
 問う内容が突拍子過ぎませんか?

 私の顔を心配そうに覗き込む彼女の顔は真剣です。
 レイ様のことをグダグダと愚痴るから嫌いだと勘違いさせてしまったのかもしれません。
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