婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「わたくしも賛成です。お義母様、そうしちゃいましょう」

 いや、いや……この人たち暴走するタイプだったの?
 わたしはサラダを口にしながら、しばしこの二人の様子を眺めていた。

「フローラちゃんは元々、王家に欲しかったのよ」

 そうだったの? それは初耳。知らなかったわ。何気に爆弾発言じゃないかしら。

「ローナの国内栽培の成功でフローラちゃんが金紫珠褒賞を受けたでしょう。その時にね、王子妃にどうかってヘンリーと話をしていたのよ」

 金紫珠褒賞とは国に貢献したりあらゆる分野で功績のあった貴族や国民を讃える最高の賞のこと。審査も厳しく滅多にもらえるものではなく受賞も二十年ぶりとか。

 ローナの国内栽培は革新的で国にどれだけの利益を齎したのか計りしれないと言われている。
 その時、フローラは十五才。

 たった十五才で誰もなしえることのできなかった研究を成功させたのだものね。
 賞にふさわしい人選だったわ。
 ちなみにヘンリーとは国王陛下のことです。

「王子妃にって話が出てたのに、なぜ実現しなかったのですか?」

 アンジェラが首を傾げながら聞いているけど、わたしもそこは疑問だわ。
 だって、フローラの婚約者いえ元婚約者は最低のエドガーだったんですからね。
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