婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 ガーデンパーティーが、レイニー王子殿下との引き合わせの場だったと知ったのは数日あとのこと。
 ディアナちゃんもいろいろと考えるわよね。

 フローラも結婚に夢も希望も抱いてはいない気配はあったけど、エドガーとリリアさんのことは祝福していた。エドガーとはうまくいかなかっただけで、他の人ともそうだとは限らない。結婚そのものがイヤというわけではないでしょう。

「フローラもいつかはお嫁に行きますわ。現に学園を卒業したら結婚式の予定でしたでしょう? それが少し遅くなっただけですわよ」

「それは……そうだが。それはわかってるんだよ」

「わかっているのであれば、よいではありませんか?」

「だが、王子殿下の妃にとは考えていなかった」

 そうですわね。一度お断りした時点で結婚は消えてしまった。消滅した以上二度目があるなんて思いませんものね。

「何が不満なのですか?」

 普通は王子妃に選ばれたら名誉なことだと喜ぶべきことでしょう。王子妃になりたくてもなれない令嬢がたくさんいるというのに、それを喜ぶどころか嘆くとは。

「フローラと会えなくなるではないか」

 まあ、まあ。そんなにムスッとした顔をなさらなくても。せっかくのハンサムなお顔が台無しですわ。それはそれで味があってよろしいですけど。

「どっちにしてもお嫁に行けば会えなくなるではありませんか」
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