婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

アフタヌーンティー

「はい。今日はここまでにしましょう」

 私は時計を見やり時間を確認すると教科書をパタンと閉じました。

「ローラおねえちゃん、もう終わり?」

 机に向かって、一生懸命単語を覚えていたリッキー様が私に微笑みかけました。

「はい。今日は終わりですよ。よく頑張りましたね」

「うん」

 リッキー様の隣に座っていた私もつられて笑顔になりました。

 今日はリッキー様の勉強部屋で隣国のサンフレア王国のサンフレア語を教えていました。
 なんでも、先生が急にサンフレア王国に帰国されたそうで、新しい先生が見つかるまで教えてほしいとの要望を受けたのです。

「フローラちゃん。お疲れ様。わかりやすくて、とてもよかったわ」

「ありがとうございます」

 アンジェラ様のお褒めの言葉に、緊張していた私はホッとして肩の力が抜けました。
 アンジェラ様は部屋の隅で控えていらっしゃいました。初めての授業で心配していらしたのでしょう。私は教師免許を持っているわけではありませんから。

 サンフレア語は習得が難しくて先生を探すのも大変だとよく耳にします。

 私は幸運にも仕事関係でサンフレア出身の方と縁があって覚えることができたので、少しでもお役に立てれば幸いですわ。
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