婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「フローラ様、そろそろお召替えをなさいませんと。奥様とのお茶の時間に遅れてしまいますよ」

 手紙を何度も読み返していると、後ろに控えていた私専属のメイドであるマリーが、焦れたように声をかけました。

 そうでした。
 手紙を受け取った時にお母様からの伝言を受け取っていたのです。

「つい、忘れていたわ。急がなくてはね。マリーお願いするわね」

「はい。畏まりました」

 制服からドレスに着替えて髪を整えてもらい、お母様の待つテラスへと急ぎました。到着するとすでにお母様の姿がありました。待たせてしまったかしら?

「お母様、すみません。遅くなりました」

「フローラ、お帰りなさい。わたくしも今来たところなのよ。さあ、座って」

「はい」

 私はお母様の向かい側に座りました。

 元々美しいお母様だけれど、最近は特に輝きが増しているように感じるわ。

 新規で手掛けている仕事がいくつかあって忙しいでしょうに、以前よりもさらに生き生きしているように見えます。

 髪もお肌もつやつやで十歳は若返っているのではないかしら。

 お父様もハンサムでかっこいいですし、お母様も社交界の華と謳われるほどの美貌の持ち主。

 それにひきかえ私は……
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