婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「大変というより楽しかったです。リチャード殿下もきちんと授業を受けてくださいましたし、耳がいいのか発音も上手でしたよ。アンジェラ様からは来週もとお願いされました」

「そうなの。よかったわ」

 心配顔のお母様の表情が安心したように緩みました。もしかしてずっと案じていたのかしら。

 昨日もレイ様と夕食をご一緒することになって、帰りが遅かったものだから両親と顔をあわせる時間がなかったのです。

「お母様。実はレイニー殿下と手紙のやり取りをすることになったのですが、よろしいですか?」

「レイニー殿下と?」

 お母様の瞳がびっくりしたように大きく見開かれました。

 文通といってもいいのかしら。

 招待状などとは違って、何度もやり取りする可能性があるので事前に報告していた方がいいと思ったのです。
 レイ様も忙しいでしょうから、頻繁にというわけではないのでしょうけれど。

 約束しましたからね。
 それに、早速、お手紙を頂いてしまいましたし……

 お母様? 

 ビックリしたまま、なんだか固まっているようですけれど。
 どうしたのでしょう?
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