婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 お断りする。
 頭にはありませんでした。すっかり行く気でしたし、珍しい花にも興味があります。

「確かに忙しいですけれど。でも、授業が終わった後にお願いしようと思ってますし、花を見るだけならそんなに時間はかからないと思いますから、大丈夫ですよ」

 あらかじめわかっていれば時間の調整は出来ますし、仕事は前もってやるか後にずらせばいいですしね。支障をきたさないようにすればよいことです。
 決して難しいことではありません。
 
「ふふふっ。そんなに深刻な顔をしなくてもいいわよ。ちょっと心配しただけよ。無理強いされているのではってね」

「それはありません。レイ様はお優しい方ですし一緒にいてとても楽しいですから、決して無理やりとかではありませんからね。お母様」

 誤解のないように言っておかなくては。
 少々、強引な所はありますけど、決してイヤではないわ。

「わかったわ」

 納得してくれたようです。

 澄ました顔でクッキーをつまんでますけど、紅茶を飲んでますけど。

 でも、お母様、顔が緩んでいませんか? 
 なんでしょう、笑いをこらえているように見えるのですけれど。

 私、変なこと言ってませんよね?


 なんとなく、居た堪れない空気を感じていると二杯目の紅茶が運ばれてきました。

 その後は別の話題に切り替わり、久しぶりにお母様とのお茶の時間を満喫したのでした。
 
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