婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「ローラ。明日は何か予定は入ってる?」
「いいえ。特には」
王宮に上がるときには『予定通りに進まない可能性もあるから、次の日は大事な用事はいれない方がいいわよ』とディアナから聞いていたので、その通りにしています。
「よかった。だったら、今夜は泊まったらいいよ」
胸をなでおろすようなホッとした声と微笑み。
思いもかけない問いかけに、私は思わずレイ様を見つめました。
「あの……そんな急に言われても、ちょっと困ります。レイ様、唐突ではありませんか?」
「ああ。ごめん」
なんの脈絡もなくもなく発せられた言葉に、バツが悪そうな顔でレイ様が謝ります。
「ちょっと歩こうか」
場の雰囲気を変えたかったのか、レイ様がそっと下ろしてくれました。
手をつなぐとレイ様に引かれるようにゆっくりと歩き出したのですが、方向が違うような気がするのですけれど。北の宮から遠ざかっているような……
「レイ様? 珍しい花を見せてくださるはずでは? 北の宮は反対方向ですよ」
少しずつ遠ざかる建物を振り返りながら聞いてみました。
「うん。花は明日見よう。実はその花は早朝に咲き始めて昼には閉じるらしいんだ。だから今見に行っても見頃は過ぎているから」
「いいえ。特には」
王宮に上がるときには『予定通りに進まない可能性もあるから、次の日は大事な用事はいれない方がいいわよ』とディアナから聞いていたので、その通りにしています。
「よかった。だったら、今夜は泊まったらいいよ」
胸をなでおろすようなホッとした声と微笑み。
思いもかけない問いかけに、私は思わずレイ様を見つめました。
「あの……そんな急に言われても、ちょっと困ります。レイ様、唐突ではありませんか?」
「ああ。ごめん」
なんの脈絡もなくもなく発せられた言葉に、バツが悪そうな顔でレイ様が謝ります。
「ちょっと歩こうか」
場の雰囲気を変えたかったのか、レイ様がそっと下ろしてくれました。
手をつなぐとレイ様に引かれるようにゆっくりと歩き出したのですが、方向が違うような気がするのですけれど。北の宮から遠ざかっているような……
「レイ様? 珍しい花を見せてくださるはずでは? 北の宮は反対方向ですよ」
少しずつ遠ざかる建物を振り返りながら聞いてみました。
「うん。花は明日見よう。実はその花は早朝に咲き始めて昼には閉じるらしいんだ。だから今見に行っても見頃は過ぎているから」